ウラジオストクに行ってきた2

9月16日

6:00 ウラジオストク市内

モーニングコールは7:30のはずだった。けたたましく電話が鳴り時計を見ると午前6時だ。どうやらフロントの手違いだったらしい。目が覚めたので散歩に出かけよう。

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薄曇りで半袖では肌寒い。ホテルを出て坂道を下り海の見える方向へ歩く。交通量の多い通りに出た。周りを見渡すも信号がない。黄色と白の横断歩道を見つけたが、やはり信号がない。行き交う車を見ながら横断歩道に近づくと、車の流れがピタッと止まった。小走りに横断歩道を渡る。しばらく道路を眺めているとロシア人歩行者は立ち止まることなく横断歩道に突入して行く。警察の取り締まりも厳しく、横断歩道では完全歩行者優先で車は必ず停車しなければならないようだ。

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ホテルを出て15分位歩くと海に面した中央広場に出た。サッカー場二面分ほどの広場には野菜や肉類の露店の準備をする車が集まっている。パンやケーキの出店が多い。また準備中の店も多かったが開店している店を覘いてみる。

 とうもろこし 80P(ルーブル) 1P≒2円 RUBを簡略してPとします。

 大きいナス 60P

 大きい玉ねぎ 45P

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歩いてきた海と反対方向のホテル側を振り返ってみると、それほど高くないが急峻な山が迫っている。東洋のサンフランシスコ等、様々な呼び名を持つウラジオストクには急な坂が多い。お年寄りには辛いはずだ。大通りには4,5階建てのヨーロッパ風の建物が並び、決して新しくないが綺麗に維持されている。街並みはヨーロッパそのものだ。国民のモラルは高く、道路や市場内にはゴミが落ちておらず清潔な街並みだ。1時間ほど散策をしてホテルに戻り朝食をとる。

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09:00 ギーペルマーケット

ロシア語のアルファベット発音は英語と違う。例えば、Cを「エス」と読み、Pを「アール」と読む。

ニシ ( ¨:¨)σ「お、ここにも生協があるぞ。」

ニシが【CCCP】と書かれた看板を指さす。

【COOPコープ】と間違えやすいが、これは生協ではなく、ソビエト社会主義共和国連邦(Союз Советских Социалистических Республик)時代の頭文字をと った「CCCP」の看板を有した建物なのだ。

与謝野晶子がパリに行く時に立ち寄ったと言われる大学を通り過ぎ、3階建てガラス張りのスーパーに到着した。アレクは店内写真撮影禁止と言っていたが普通に写真を撮る。店内は清潔で生鮮売り場でも悪臭はしない。店のシステムは日本と同じだ。生魚は売られていない。凍結されたカニやカレイの干物のような加工品がわずかにあるだけで魚は食べない国民性らしい。食料品は日本と物価が変わらない。たばこは厳重に管理 されていてレジの上にあるシャッターで隠されたケースに管理されていた。

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10:00 魚市場

市民が憩う海水浴場に併設する魚市場と言っても、生魚は置いてなかった。アレクによると生魚の販売は禁止されている。鮮度維持技術や食中毒の衛生に対する認識が低いので管理できないのが実情のようだ。店内には冷凍されたカニや揚げたエビしかなかった。

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店を出て大きく弧を描くように入り江を囲む遊歩道を散策する。店の隣には有料トイレが置いてあり年配の女性が立っている。

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アルタイ産ミョーデ(はちみつ)の売店でお土産を購入する。遊歩道であるナーベレジナヤ通りには開店準備の露店が並ぶ。近くの陸上競技場では小学生の運動会らしきイベントが行われていた。市民憩いの場のようで、宴会中の若者の団体や、海水浴場では老人が1人で泳いでいた。すでに開店していた店でお土産を買う。茹でトウモロコシが1本100Pで売っていた。

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10:30 ペールパヤ・レーチカ

少し天井が低いショッピングモールに立ち寄る。1階は食品売り場や雑貨類。2階は主に衣料品が中心だ。ロシア語で魚卵を意味する「イクラ」や冷凍されたカニや貝類など比較的海の物が多かった。

 

1:00 寿司バー「TOKYO」

アレクの給料は8万円らしい。1992年の市場開放後、インフレが止まらず、ほとんど食費に消える。その為、食事は余程の事がない限り家庭で摂り外食はしない。市内のあちらこちらに小規模のスーパーが点在していて市民の生活を支えている。市街地にもマクドナルドやケンタッキーなどのファストフードはなく地元レストランがあるのみである。

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( ` : ‘ )/~アレク「寿司といってもロシア人が思う寿司っぽい食べ物なので別の食べ物と思ってください」

念を押されていた。案の定、出された寿司は緑やオレンジに着色された魚卵(シシャモ?)の巻き寿しにマヨネーズ和えのきゅうりと肉が巻かれている。食べてみるとそれなりにおいしかったが、なかなか箸が伸びない。無理やり、ぬるい味噌汁とオリオンビールで流し込む。貝とエビのチャーハンは油がきつく大量に残してしまった。

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13:00 中央広場

食後に両替所に向かう。私は成田空港内の千葉銀行で1万円を両替した。日本で両替するとレートが悪いと言われていた。日本では1万円=4800Pが、案内された街中の両替所では6280Pになった。

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道路を挟んだ両替所の対岸が騒がしい。ビルの入り口に人だかりができ大きな歓声が上がっている。ウェディングドレスを纏ったカップルが大歓声の中、階段を下りてきた。そこは裁判所があり、婚姻届けを提出に来たようだ。そのまま豪華なリムジンに乗り込むカップルもいれば、こちら側に歩いてきて両替所の隣にあるパーティ会場になだれ込むカップルもいる。

中央広場に移動すると朝に一人で散策した時はまばらだった露店が午後になると所狭しと並んでいた。青果中心でお菓子、はちみつ、肉製品が並ぶ。普通こういった青空市場や人混みを案内する時にガイドはスリに気を付けるよう、また治安に細心の注意をするように注意するはずだ。アレクは「ウラジオストクは治安がいいですよ」と言って何も注意しない。実際、今回の旅行で危険な思いをしたことはない。治安はいいようだ。

市場の一角に鮮魚をバケツに入れて売っていた店がある。お客はいなかった。

 ニシン 145~220P

 さば 510P

 はちのす 100P

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広場の奥に土産店があった。ロシア土産の定番のマトリョーシカや毛皮の帽子などの食品以外の雑貨が並ぶ。私はご当地Tシャツが欲しかった。アレクは店員控室に入り店員と雑談している。片言の日本語を話す店員がいたのでTシャツのサイズを探してもらう。1枚610Pは安くなかったが他に買えそうな所がないと思ったので買い込んだ。

 

15:00 スーパー パルス

1階が食品、2階が雑貨売り場のスーパーでお土産になりそうなワインやチョコレートを購入する。食品は日本とほぼ同じ価格帯であったが、2階の雑貨売り場に人はまばらでイトーヨーカドーダイエーのような、一般的なブランドのコップなどの食器、日用品が置いてあった。日本の2倍くらいの値段だった。スーパーの入り口にあるコーヒースタンドでコーヒーを注文する。若く可愛い店員にコーヒーを注文して日差しのきつい屋外で一服する。

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ロシア人は美しい人が多い。ニシは出会う人すべてに恋をしている。

(・ω・)「さ、次行くよっ」常にニシを引っ張らなければならないのは大変疲れる。

店は坂の途中にあるので坂の下にある駐車場へには階段を降りなければならない。ニシを引っ張っていくと杖をついた老人と肩を抱える女性が道をふさぐようにゆっくりと長い階段を下りている。

( ¨:¨ )「ん?親子かな?」

我々は一段一段、彼らが下り終わるのを待つ。すると老人は何回も女性にお礼を言っている。てっきり身内だと思っていた女性は赤の他人だったのだ。ロシア人の優しい心に感心した。

 

18:00 北朝鮮料理 ピョンヤン

北朝鮮の外貨獲得手段として海外に派遣された女性兵士が給仕する北朝鮮料理レストランに行く。

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日本でもおなじみのビビンバやチャプチェ(春雨の炒め物)、冷麺や酸味の効いた鍋を北朝鮮のビールで楽しむ。店員の写真を撮ろうとカメラを向けると「NO!!」と怒られた。

アレクが怒っている。追加注文をしようとしたのだが、

( ゚Д゚)㌦ァ!!「北朝鮮ハ接客ガナッテイナイ!!ロシア語モ英語モ通ジナイ!!ダメダココハ!!」

(・・なら連れてくるな)と思っていると突然、歌謡ショーが始まった。北朝鮮の独特な歌謡曲をギターやピアノのバックバンドで踊りながら歌う女性。さっきまで写真NGだったのにショーが始まると他の客は写真を撮り始めている。

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食後、外に出ると道路を挟んだ向かい側にあるオートバックスみたいなカー用品店で、大胆な衣装に身を包んだ女性二人が悩まし気なダンスを踊っている。カー用品店は閉まっているがPR活動なのだろう。目の前の車の流れは速く誰も目に留めない。観衆がいないと寂しいだろうと勝手に気を使い、彼女らの息遣いが感じられる間近で見ることにした。f:id:barbizon:20220114103136j:plain

ニシと二人で見ていると踊り子から熱い投げキッスをもらう。

やばい、ニシのスイッチが入った。

 

ギラギラ(≪●≫ω≪●≫)「さ、一緒に行こうか」

 

二人を口説こうとするニシをアレクと二人でたしなめ、車に押し込んだ。

 

20:30 謎の会場

「ナンデダ!!ナンデダ!!」暴れるニシを乗せた車はホテルの裏手に小高い山に入る。アレクは無言のまま慣れたハンドルさばきで暗く細い砂利道に入る。街灯もなくヘッドライトの灯りを頼りに劣悪な道を進むと暗い古ぼけたアパートらしき建物に着いた。アパートの裏手には何が入っているか分からない多数のコンテナが並び、ここが普通の場所ではないことが窺える。

ガク((( ;゚Д゚)))ブル「ごめんなさい、暴れませんっ」

ブルブル((( ;○д○)))「コンテナの中には・・・」

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建物に入り、冷たいコンクリートの廊下を歩いていくと怪しげな紫のネオンを基調とした20畳ほどの部屋に通される。

゜*。・*゜ ヽ(*゚∀゚)ノ.・。*゜。ニシの眼が煌めく。

ここで紹介された新たな現地ガイドと合流して旅の疲れを癒す。

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顔がちっちゃいな。

ホテルに戻り、上機嫌のニシ部屋で本日の反省会を行う。その後、ホテルの最上階のラウンジで歓談して就寝となる。

つづく