フィリピンに行ってきた2

2月17日

9:00 パシル魚市場

今日も快晴だ。\(^ω^)/

気温30度、強い日差しが肌に突き刺さる中、海の近くにある魚市場へ行く。市場への路地はドブのような悪臭だ。

得体のしれない黒い油で甘く揚げたバナナを20円で販売する露店や10円のパンを売る店等を通り抜け、サッカー場がすっぽり覆われる程の広さの市場に出た。屋根はあるが排水が整っていない為か地面から悪臭が沸き上がる。

揚げバナナを食べてみた。表面はカラメル状だが中は少し酸味の効いたバナナだ。これがバナナの種類なのか、腐敗からくるものなのか分からない。

市場から見える深緑色の海水の透明度は極めて悪くゴミがたまっているが、子供達は水しぶきを上げ元気よく海に飛び込み遊んでいる。

貧富の差が激しく生活水準の低い地区は治安も極めて悪く、スリやひったくりに十分に注意するように言われる。

9:40 カルボンマーケット

パシル魚市場の近くにある中間層から低所得者層の台所、カルボンマーケットに移動する。お祭りが開催されているらしく、可愛らしい白のドレスを着た女の子が楽しそうに通り過ぎる。

屋根で覆われた広大なスペースに二坪程の店舗がひしめくように連なる。おおまかにエリア分けされており食肉を扱うエリアでは店先に下処理を終えた豚を丸々ぶら下げる店、茹で上がった鶏をさばく店など、活気がある。衛生状態は決して良くはないが、ハエや悪臭が立ち込める程ではなかった。

鮮魚エリアには、見慣れない青い魚や小ぶりではあるがマグロに似た魚が並んでいる。青果コーナーでは特産である「すだち」やパイナップル、バナナを目にする。日用雑貨を扱う店もあり、客なのか店員なのかわからないが大勢のフィリピン人で賑わっていた。

時々目にする高さ1.5m幅30㎝程の細長い縦型の箱が通り沿いにある。前面上部に小窓があり、中には液体が見える。硬貨投入口があり何かの販売機のようだ。

ノウェが実演してみる。最上部の穴からナイロン袋を取り出し、1ペソ≒2円を投入する。すると蛇口らしき所から透明な液体が流れ出し袋に注ぐ。ミネラルウォーターらしい。スト ローがないと飲み辛いだろう。群衆に注目される中、ノウェは買ったばかりのミネラルウォーターを横にあるゴミ箱に捨ててしまった。「なぜ捨てるんだ?」子供達の冷たい視線が突き刺さる。

足を進めると微妙に音程のずれたフィリピン歌謡が聞こえてきた。1曲5ペソ≒10円の街頭カラオケだ。他の場所ではテレビに子供達が群がっていた。1回10ペ ソ≒20円のストリートムービーだ。

フィリピンでは靴は高価な物らしい。靴の修理屋が靴底をはがし修繕している。

賑やかなマーケットの裏側は海岸線までの僅かなスペースにバラック小屋が密集している。年に25回以上台風が上陸する地では海沿いは危険なはずだ。劣悪な環境は最下層のフィリピン人が住むスラム街だという。薄暗い空間から多数の視線を感じる。フィリピンの闇がここにはあるのだろう。

10:15 マゼランクロス

混沌としたマーケットから、セブ島の数少ない観光地であるマゼランクロスに移動した。キリスト教の布教のためにスペインの援助を受けて訪れたポルトガル人冒険家マゼランが1521年に建てたと言われる木製の十字架は、ご利益を求めて次々と削り取られた。後からお堂を建て、十字架を守っている。天井に歴史物語が描かれており厳粛な雰囲気が漂う。数名の黄色い服を着た女性が立っており10ペソ≒20円のろうそくを買うと祝詞を唱えながら踊ってくれた。

10:30 サント・ニーニョ教会

マゼランクロスから歩いて数分、市役所の広場を経てサント・ニーニョ教会にやってきた。フィリピン人の90%がキリスト教ということもあり、教会内は非常に混んでいる。1565年にマゼランから贈られたサント・ニーニョ像(幼きキリスト像)を見る為に長蛇の列が出来上がっていた。トイレに紙はなく1ペソ≒2円で売られていた。

10:30 プリンス ウェハース

 マゼランクロスの近くにあるローカルスーパー「プリンス ウェハース」の周りにはTシャツや様々な郷土品を売っている露店コーナーがあった。歩き移動中、信号待ちをしていると紙コップを持った物乞いが近づいてきた。

(≪⦿ё⦿≫)Ъ‥‥

ひたすら無視を続ける。振りほどくように早足で歩く。

露店では「CEBU」とプリントされた物やフィリピンの国旗をあしらったTシャツが並ぶ。1枚150ペソだと言われた。100ペソ≒200円に値切り、喜んで支払っていると背後に気配を感じる。

‥‥(≪⦿ё⦿≫)Ъ

振り返ると先程の物乞いが立っていた。財布を見ていたのか釣銭を見ていたのか服の裾をつかみながら紙コップを差し出してくる。執拗についてきたが警備員のいるスーパーに入ると恨めしそうな目で去っていった。

11:25 サンペドロ要塞

スペイン統治時代に入植の拠点として1565年に建設された。当初は木造であったが、1738年にイスラム勢力に対抗する為、現存する石造りの要塞に改造されたものだ。要塞内に展示してある遺物や説明文は東アジア特有な戦争被害者という色合いは薄く、淡々と史実のみを語る。第二次世界大戦中は日本の捕虜収容所として使われた過去もあるが、重苦しい雰囲気はない。外周380mとそんなに広くはない。高さ6mの外壁は三角形をしており大砲が設置している。正門前広場にあるモニュメントは過去の戦争で亡くなった人を敵味方関係なく弔っている。寛容な国民性が表れている。

12:00 シューマート シーサイド

東京ドームの10倍の床面積を誇る巨大なショッピングモール。中にあるフィリピン料理 Hukadで昼食だ。ライスのお替り自由ということもあって店内は地元客で賑わう。味付けは辛くもなく酸っぱくもなく日本人の口に合うようで地元ビールのピールセンを飲みながら箸が進む。

ハロハロというかき氷は程よい甘さで食後のデザートには最適だ。

店内は極めて清潔で中間から富裕層をターゲットとしており、価格帯も高めだ。鮮魚、食肉も日本のスーパーと遜色ない。

15:10 フローラ スパ

(≪●≫益≪●≫)「俺は歩き疲れた!」

ニシの一声でマッサージに行くことになった。ホテルに戻り、歩いて5分位の所だが、安全の為、タクシーで移動する。

白い外壁と箱型の建物が印象的だ。店内は高級感が漂い清潔である。全身オイルマッサージ90分コース450ペソ≒900円を支払った後、足を洗ってもらう。個室に入り服を脱ぎパンツ姿になる。うつ伏せになり足から始まり全身オイルマッサージがスタートした。肩が凝っていたので、かなり痛かったが心地よい。スペシャルマッサージを誘われる事もなく、あっという間に時は過ぎていった。後で聞いた話だが、ニシは何を期待してか全裸になり続けたため、無理やり店用のパンツをはかされたらしい。

最後にチップ入れの小袋を渡された。50ペソを贈る。

18:00 中華料理 サイチェン

中華料理が今晩の夕食だ。食べ放題の海鮮バイキングレストランは大勢のフィリピン人で賑わう。「食べ残し罰金1450ペソ」と書かれていて、生簀や冷却ケースの中にはブラックタイガーワタリガニ、イタヤ貝の他、見たことない青い魚など新鮮な状態で陳列している。

パンッ‼ パァーーーン!!

突然、銃声のような破裂音が広間に響いた。

驚いて振り返ると別室でバースディパーティーが始まったようだ。主賓が入場する時に大量のクラッカーを鳴らしたのだ。誕生日に盛大なパーティーを開き楽しむ人々と、今朝見た、1ペソの水を捨てたことを恨めしそうに睨む子供達が脳裏に浮かぶ。フィリピンの明暗を見たような気がした。

20:00 インフィニティ

旅の疲れを癒すのは、スパでありカラオケである。ここまで大人しかったミヤギの眼が怪しく光る。どこで聞いてきたのか、ミヤギの案内で怪しげな紫色のネオンを放つ建物に吸い込まれた。

店に入ると正面のショーステージでは数名のダンサーが艶めかしく踊っている。薄暗い通路を進み20畳程の個室に入りL字に配されたソファーに座る。小太りのサングラスをかけたママらしき人とミヤギが交渉している。20名程の女性が入ってきた。浅黒い南国風の人。一見日本人と見間違う顔立ちの人。スペイン系の人など多国籍な女性達だ。それぞれパートナーを見つけ出し交流を深める(1200ペソ)。

参考までに女の子はホテルに自由には入れない。フロントでIDの提示、訪問先の部屋番号、ベットフィー1000ペソを払い入場する。エレベーターの前でチェックされるようだ。

ホテルに戻ったのは22:00を回っていた。

 

23:30 マンゴツリー

ホテルは全館禁煙のため、一人で外に設置している喫煙所でタバコを吸っていると、ホテルに併設されているホールから大勢の群衆が出てきた。何かのイベントが終わったらしい。「OPM(オリジナル フィリピン ミュージック)」と書かれたポスターがあり往年のアイドルらしき4人組の男性が写っている。客層も中年女性が多く、興奮冷めやらぬ様子で会場を出てきた。

人ごみの中に、さっきまで一緒にいたニシがいた。

『ん?何してるんだ?』

背後から近づき押し殺した声で話しかける。

ヾ(叫゚Д゚)ノキャァァァァァァァァァ!!!!!!

驚いたニシは人をかき分け逃げ出した。どうやら強盗まがいと思ったらしい。涙目のニシが安心した所で「もう一軒行こうか?」という話になり、ミヤギを呼び、フロントに教えてもらった店に行くことになった。治安が悪い場所にあるらしく日本人に教えることを躊躇していたようだが酒の勢いもあり繰り出すことにした。薄汚れた雑居ビルの前には物乞いらしき女性や座り込む男がこちらを見ている。門番に促されるまま店内に入る。縦長の室内はステージを取り囲むようにソファーが配置され混み合っている。こういう場所にいるのは外国人が多い。日本語はもちろん、韓国語や中国語も聞こえる。大柄な白人男性もステージを眺めている。適当な女の子を指名して1時間程談笑してホテルに戻った。(900ペソ)

 

つづく