※不愉快な内容が多く含まれます。人によっては気分を害されるかもしれません。※
人生には多くの選択肢がある。今回は悉く選択を間違えた男の話である。
早朝の呼人浦キャンプ場は水を打ったような静寂が支配している。
物音を立てないように朝食をとる。
そういえばバイクのウインカーがおかしい。左折は点灯するのだが、右折はスイッチを入れても固定されず、すぐに戻ってしまう。
中で何か折れたかな?ぱかっと開けてみる。
こりゃ汚い。ぎっしり詰まった油や虫を掃除したら正常に動くようになった。
よし、気持ちよく出発だ!
スマホのナビが使えないので、左手に海を見ながら進めば何とかなると思い、ツーリングマップルを見ながら進んだ。
ん?(・ω・)ここはどこだ?網走市内のどこかで道を間違えたらしい。
1、わかる所まで戻る。
2、そのまま進む。
ツーリングマップルをよく見ると「灯台 クリオネが・・・」と書いてある。
思わせぶりな表現じゃないか。港が見えるし行ってみよう。
港内には釣り客が4~5名ほど。離れたところに止めて一服する。
ε=ブブブブブブブッ
(これだけ広いのに何故ここに止まるんだ?)
中からサングラスをかけた親父が、こっちを見ながら降りてきた。手には大きい白いバケツを持っている。
(なんだ?)
ドボボボボボ・・・・
明らかに私を意識しながら親父はバケツ一杯のホタテの貝殻やバーベキューの残渣を海に捨て始めた。
(# ゚≍ ゚)イラッ「それは、ダメでしょう!」思わず言ってしまった。
クワッ(≪●≫皿≪●≫)「なんだぁ?あんた、監視員?」
監視員?この言葉が出てくるということは少なからず悪いことをしているという自覚があるようだ。
(# ゚Д゚)イライラッ「一般的にダメだと言っているんだ!モラルの問題だ!!」
(≪●≫益≪●≫)「ほぉ~あんたは今までに一度も海に捨てたことがない・・」
「ないっ!!」
気後れしたのか親父はブツブツ言いながら去っていった。おそらく車中泊だろう。こういった輩のせいで他の車中泊や旅人まで悪い印象をもたれてしまう。
朝から嫌な気分になってしまった。
気を取り直して地図を眺める。羅臼に行く途中にどこまでも続く直線道、「天に続く道」があるようだ。
このカーブを曲がれば・・・
うぉっ!何たる直線!
ん?何か記憶と違うぞ?
どうやら、ここはゴール地点で反対側から見たほうが凄いらしい。
それっ!ワープ!!
おおっ、スタート地点と書いてあるではないか!これは見事だ。
続いて知床峠へGO!!
まっしろけ。峠を越してから雲が厚くなってきた。
このまま、釧路に向かわなければならない。出発前に天気を調べて雨を避けていたのに、数日で天気予報が変わり結構な大雨模様。
今晩の野営地は釧路市外のキトウシキャンプ場を予定していた。コインランドリーと銭湯も下調べ済みだ。しかし、雨とは。(;´д`)
1、キトウシキャンプ場で雨をやり過ごす。
2、少しでも次の目的地日高へ向かう。
スマホの電池がほぼゼロだ。日高地方の天気がわからない。記憶を頼りに考える。温泉が近くにある無料キャンプ場は・・・・
忠類ナウマン公園キャンプ場だ!少しでも近くに進もう!
ツーリングマップルだけが頼りだ。釧路を過ぎ、白糠・浦幌を抜けて山道に入る。陽が落ちてきた。雨もあがらない。電圧計の数字を気にしながら何とかキャンプ場に着いた。
「受け付けはフロントまで」
薄暗い中、キャンプ場に併設された温泉フロントに行く。
受付女性「バイクですかぁ?1500円になります。」
いつの間に有料になったんだ!しかも、そこそこ高い。
(*ω*)「ちょっと、考えます。」
1、1500円を支払い、ここをキャンプ地とする。
2、別の所を探す。
自分に課した条件は「無料」キャンプ場だ。たしか、ここから30分くらいに晩成温泉キャンプ場があったはずだ。
決断するのに時間はかからなかった。陽も完全に落ちて街灯もない真っ暗な山道を、記憶と地図だけで走り出した。
キツネやシカにぶつかりそうになりながら雨の中、晩成温泉までやってきた。
・・プスプス・・・
なんと着くや否やエンジンが止まってしまった!!セルを回してもエンジンがかからない。電圧計は10Vを下回っている。走行中に充電されていなかったのか?
パニック状態で、キャンプ場を見ると看板が掲示されている。
「有料:ご利用は受付まで」
そんなぁ(;ω;)
心が折れてしまった。
受付の男(‐m‐)「20:00まで入浴券付きで1000円になります。」もういい。ここでいい。もう万策尽きた。時計を見ると19:45分だ。
( *ω* )「有料になったんですね。」
(♯゜益゜)イラッ「これでも赤字ですから!!」何か気に障ることを言ったのだろうか?世間話程度の話題だと思ったのだが、受付の男性には有料化に対する非難と聞こえたようだ。気を付けよう。
・・・疲れ切っているので、今日はもう寝よう。エンジンのことは明日考えよう。入浴券は明日の朝まで使えるので風呂は明日にしよう。朝食用に用意したパンを無理やり口に押し込み眠るとする。
ガサ…ガサガサ…
この音の発生源はテント内だ。雲の切れ間から差し込む月明かりに目を凝らす。
ガササササ
確かに黒い物体がテント内にいる。残り僅かのスマホをつける。
ギャーッ!ネズミだ‼‼ 写真はイメージです。
どこから入ったのか?一匹なのか?半狂乱になりながら、テント内の物をほおり出し、バッサバッサ、テントをひっくり返す。
ドサッ!カササ・・・
た、確かに逃げていったぞ。泣きながらテントを設営しなおす。この不運は三河ナンバー親父の呪いか。はたまた釧路泊の選択を間違えたのか。ナウマン公園で宿泊すればよかったのか。全て、悪い方向に転がってきたようだ。急に不安になってきた。
「明日エンジンかからなかったら、どうしよう。」
走行距離501㎞+20㎞は走ってるな。
つづく